接客 接遇 クレーム対応ブログ

合同会社レオニード メンタル ラーニング

餅は餅屋

私が以前勤務していたスーパーマーケットで起きた出来事です。

「消費期限には細心の注意が必要」ということを身を以て体験しました。

 

お客様から電話がかかってきました。

電話を最初に受けた私が、そのお客様の話を聞いてみると、

「今日、お湯で茹でて食べるハンバーグを購入して食べたのだが、お腹の調子がおかしい。ハンバーグの包装に記されている消費期限をみたら、二日も過ぎている。病院代を出せ!」

こういうクレームでした。

 

これは一大事です。

(但し、このクレーム内容に偽りが無ければ、ですが・・・)

 

私は電話の向こうのお客様に電話番号と住所、名前を聞き、折り返しますということで、一旦電話を切りました。

 

店長室に店長がいたので、この内容を伝えると、店長の顔が一気に曇りました。

私が「どうします?」と聞くと、店長は「お詫びに行ってくる。話を聞いてくる」と言って、菓子折りを片手に、そのお客様のところへ出掛けていきました。

 

その間に、私は対象の商品を扱っている部署(デイリー部)の主任を呼んで、事情を説明。デイリー部主任も顔色が変わってしまい、無口になってしまいました。

 

一時間ほどして、店長が戻ってきました。

店長から話を聞くと、

「お腹の調子が悪いので、今から病院に行きたいが、病院代は出してくれるのか?」

「もし、これが原因で仕事に行けなくなったら、休業補償(給与補償)はしてくれるのか?」

「もし、納得行く対応をしてくれないようなら、保健所にこのことを伝えに行くが、いいか?」

こういうことを言われたようでした。

 

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大きな声では言えませんし、あくまでも、長年、スーパーマーケットに勤務し、様々なクレームに接してきた私の個人的な感想で言えば、これは、「ゆすり」です。

 消費期限が2日過ぎている程度では、お腹を壊すことはありえません。・・・と言いますのも、それには根拠があり、メーカーは製造時点で予め大幅な消費期限を前倒した日付を設定し、印字しています。

 例えば、製造日から90日の消費期限がある商品でも、製造日から30日で「消費期限切れ」として設定し、商品に印字しています(商品によって、その設定期限は様々です)。ですので、2日で腐ったり、食べたからといって体調を壊したりするということは、ありえないのです。日本のメーカーはこういう点を異常なまでに厳格にしています。

 

 結局、事の内容が内容なので、本社総務部へ報告することにし、本社総務部がすべて対応することになりました。

 ちなみに、私が勤務していたスーパーマーケットの総務部の部長を含め部所属社員の大半が「元県警本部の警察官」でした。恐らく他の大手スーパーマーケットも「元警察官」を雇っていると思います。

 総務部は、株主総会やクレーム処理を行うことも業務の一つですので、元警察官という存在は貴重なのです。

 

 この件ですが、結局、総務部部長が直接対応し、病院へはスーパーマーケット側から行くように促したそうです。

 後から、万が一、身体に変調が出ては一大事という事もあったようですが、病院へ敢えて行かせた主たる理由は、「病院にお客様ご自身に足を運ばせることで、スーパーマーケット側は、やれることはやりましたよ。病院に行きたいと言っているお客様の意見を素直に聞き入れましたよ」という姿勢をお客様に見せるという事だったようです。

 同時に、以下のことも伝えたようです。

 「病院の診断書を見せて貰い、会社に通勤できないようならば給与補償はさせて戴くが、その時はスーパーマーケットの顧問弁護士が窓口になって対応させて戴くことになります」

 

 結果、病院の診断書は特に異常は無いということだったようで、この件は無事に終わりました。

 また、本社総務部から全店(140店舗)に、

通知があり「消費期限を再度チェック!! 毎日、消費期限はチェックしていると思いますが、再度、消費期限チェック作業をルーティンとし、システム化すること! これは会社の信用を守ることに加え、お客様の食の安全を守ることになります。大至急、実施すること!!」

こういう通知でした。

 当たり前のことではあるのですが、140店舗ありますと、店長や担当者にも色々な性格の人間がいますので、店によっては、「抜け(作業を疎かにしている)」があるのです。残念なことですが・・・。

 

 

 今回の一件の時は総務部(元警察官)が対応しましたので、無事に終わりましたが、こういう事態に慣れていない人間(店長、副店長など)が対応すると、「ごめんなさい。支払います」と、つい言ってしまい、長きに渡って、治療費や給与補償を支払う羽目になってしまうのです(過去にそういうことが、私が勤務していたスーパーマーケットでもありました)。

 

 こういう事態が発生した場合は、自分で解決するのではなく、慣れた人やプロにお任せすることが懸命です。

 会社組織の場合でしたら、本社総務部(会社によって、部署は異なると思います)へ報告する。

 個人経営の場合でしたら、弁護士へ相談する。

 自分自身で対応、解決できる経験やスキルを持っているのでしたら、自分自身で行うのは構いませんが、そういう人はなかなかいません。ですので、プロにおまかせして下さい。

 最初の対応を間違えると、解決に長い時間を要する上に、その期間、お金を支払わなければいけないことになりかねません。

 

 昔から・・・

 「餅は餅屋」という諺があるように、何事においても、その道のプロにお任せすることが、最短に解決でき、最良な判断になるということです。

 

 

 

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        村上昭仁(代表)

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                  2020年5月2日(土)

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